昔ながらの食堂のざる蕎麦。

これは、これで夏の涼を支えてきた

庶民の味だ。

今でも覚えている

小学校の低学年の頃、

初めてざる蕎麦を食べた夏の日のことを。

運ばれてきた、山盛りの蕎麦を見て面食らった。

そして、意を決して

徐に、力強く箸を突き立てた。

そう。薄緑のプラスチックの網は

蕎麦で覆い尽くされており

刻み海苔が積もった蕎麦の頂から、

丸い蕎麦受けの底辺までの距離を瞬時に読み取り、

箸を勢いよく突き刺したのである。

「ごりッ」と鈍い音。

蕎麦に突き刺さった箸は

目標までの距離を大きく残したまま

行き場を失っていた。

少年の夏は

もろくも終わりを告げた。

昭和の夏の日

ざる蕎麦のざるの仕組みを知り

少年は大人になったのだ。

それ以来、

このざる蕎麦を受ける器が

欲しくて欲しくて

どうしようもなかったことを

うっすら覚えている。

子供の頃の心を打つ風景は

一瞬で記憶装置へ焼き付けられる。

そして、幾年経っても

あの頃の風が吹けば

昨日のことのようにフラッシュバックする。

バイクはそんなシーンを呼び起こす

タイムマシーンなのかもしれない。


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